IPOハンター

IPO(新規公開株)の初値売却で、目指せ利益1000万。初値予想、抽選結果、実績等を公開中。

今年の目玉『日本郵政IPO』は大丈夫?

昨日になりますが、ロイターから『不透明感漂う日本郵政上場、郵便・金融に見えない成長戦略』という記事が出ていました。
日本郵政グループ[IPO.JAPP.T]が、国有企業としては1987年のNTT<9432.T>以来の規模となる株式上場に向け、難しいかじ取りを迫られている。昨年末、同グループは今秋にも上場する計画を正式発表したが、その柱となるべき郵便事業の収益向上や金融子会社の取り扱いなどの施策は依然、明確になっていない。 「成長戦略なき新規上場」に厳しい目を向ける投資家もあり、売却収入を当て込む政府の思惑が狂う不安も消えていない。 <中期計画の利益目標は「減益」> 「利益成長が見えないので公募価格はかなりディスカウントせざるをえない。いずれにせよ、(投資の対象としては)触手が伸びない」。東京にある欧州系ファンドの幹部は、国有企業では1997年の東海旅客鉄道<9022.T>(JR東海)を超え、バブルの最中に行われたNTT上場以来の大型IPOに、こんな冷めた見方を隠さない。 投資家が不安を抱く最大の理由は、上場後の事業展開について、日本郵政から「エクイティストーリー」(成長戦略)が出ていないことだ。同社が昨年2月に発表した中期経営計画によると、今後3年間で1兆3000億円の投資をするものの、計画が終了する2016年度の連結当期純利益目標は3500億円と、2013年度の4800億円から減益となる。 日本郵政が12月26日に発表した計画によると、来年度半ば以降、政府による日本郵政の株式売出し・上場に合わせ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険も同時に上場する。同日の会見で、西室泰三日本郵政社長は「郵政民営化の第1歩がようやく始まった」とする一方、「これから先は上場会社にふさわしい戦略をたてていく必要がある」と述べ、3月に中計の見直しを発表する考えを示した。 ただ、金融・郵便という二つの基幹事業はともに収益力の低下に直面しており、投資家側に厳しい見方も少なくない。「今段階ではあまりいい印象を持っていない機関投資家も、これなら行けるというストーリーを出してほしい」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長)などの要望を満足できなければ、歴史的な大型上場の離陸に向かい風が強まる心配もある。 <あいまいなゆうちょ銀、かんぽ生保の取り扱い> グループの利益の大半を稼ぐ金融部門であるゆうちょ銀行、かんぽ生命について、改正郵政民営化法では2社の株式すべてを処分するとしている。しかし、それに具体的な時限があるわけではない。 上場計画では、まずは「保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却していく」とあるのみだ。2社の株式をどれほどの期間でどこまで手放すのか、その規模によって日本郵政自体の企業価値も変わってくる。 また、日本郵政過半数を持ち続けている限り、住宅ローンなど2社の新規分野への進出には、「民業圧迫」という厳しい批判と制約が続くのは必至で、両社の成長を描きづらい。 さらに日本郵政と金融2社の親子上場の問題もある。東証は親子上場については利益相反の恐れもあることから慎重なスタンスをとっており、実際、上場会社の多くが親子上場の解消に向けて動いている。日本郵政の出資を残したままの金融2社の上場はこの流れに逆行することになる。 自前の店舗網が小さいゆうちょ銀、かんぽ生命は、全国2万4000局の郵便局ネットワークに販売を依存している。2013年度、2社は日本郵便に代理業務手数料として合計1兆円近くを支払っている。郵便局事業の営業収益の8割以上を占める。この手数料が親会社である日本郵政によって恣意的に決められた場合、2社の少数株主の利益が損なわれるおそれがある。 「金融2社の上場時には日本郵便に払っている手数料の決め方などグループ内取引のルールを明確にする必要がある。そこがあやふやなままだと、投資家は2社の値段をつけられない」と慶應義塾大学ビジネス・スクールの太田康広教授は指摘する。 <郵便事業には「公共サービス」の足かせ> 一方、もう一つの事業の柱である日本郵政についても、成長戦略は輪郭すら見えていない。日本郵便のはがき、手紙などの郵便取扱物数は、Eメールの普及でピークの2001年度から3割減の185億7200万通にまで落ち込んでいる。 過去の国有企業の民営化では、事業のリストラが重要施策となった。日本たばこ<2914.T>は国内需要の減少に対応して工場閉鎖を推進。JRは分割後、東日本<9020.T>、東海、西日本<9021.T>の本州3社を上場させる一方、赤字路線を多く抱える北海道、四国、九州のいわゆる三島(さんとう)会社を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の100%保有会社として移管した。 しかし、郵便事業には地域格差のないユニバーサルサービスを提供する義務があり、日本郵便には全国2万4000局の郵便局ネットワークを今後も維持する膨大なコストがのしかかる。 とりわけ過疎地域では郵便局が唯一の金融機関であることも多く、新聞も郵便配達によって届けられるなど、公共インフラとしての側面も強い。日本郵政には上場後も、営利企業であり、かつ公共サービス提供者でもあるという2つの役割が期待される。 日本郵便は成長事業の一つに「ゆうパック」の小包事業を掲げる。アマゾン<AMZN.O>などのEコマースの普及で宅配便需要はさらに伸びるとみるからだ。中小口営業の取り組みの成果もあり、ゆうパックの取扱量は過去5年間で6割以上増え、2013年度は4億2800万個になった。中計では2016年度に5億個の取り扱いを目指す。 ただ、同時に人件費などのコストも大幅に増え、2013年度のゆうパック、ゆうメールを含む「荷物」の収支は332億円の営業赤字となった。高コスト体質からの改善がいまだ道半ばで増収が増益に結びつかない構造が続く。 <ドイツポスト<DPWGn.DE>の教訓> 日本郵便のこうした実情と対照をなすのが、2000年に上場したドイツポストの動きだ。 「われわれのゴールは世界の総合ロジスティクス業界でリーダーとなることだ」。同社はIPOにあたっての目論見書でこう宣言。実際、上場前の2年間にスイスの大手ロジスティックス企業ダンザスや米国の大手フォワーダーAEIを含む10件以上のM&Aを手がけ、1999年にこれまでなかったロジスティクス部門を設立、国営郵便会社から一気に国際物流会社への転身を遂げた。 <政治的妥協のツケ> ドイツポストのような機敏な事業展開を難しくしている日本郵政の実態は、元をたどれば、郵政民営化の際の「政治的な妥協」が影響している。自民・民主両政権ではそれぞれ与党内に特定郵便局長会や労組の支援を受けた議員を抱え、郵政民営化をめぐって紆余曲折が続いた。 小泉純一郎政権下で2005年に成立した郵政民営化法はその後、民主党政権下で郵政株式売却凍結法が成立。2012年に成立した改正郵政民営化法では、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式について、改正前の2017年9月30日までに完全処分義務から、できる限り早期に処分との曖昧な表現に後退した。 「郵政民営化法は、一方で、日本郵便ユニバーサルサービスの責務を軸に、日本郵政の一体性を守るようにしていながら、他方では、日本郵政に対して、金融2社の株式の全部売却を、原則論として求めるという、矛盾した構造になっている」とHCアセットマネジメントの森本紀行社長は指摘する。 同氏は望ましい上場の姿として、金融2社の日本郵政からの完全分離としてうえで、日本郵便は総合物流企業への脱皮を図るべきという。「まさに、ドイツポストのように。金融2社の売却によって得られる資金は、当然に、日本の内外の物流関連企業の買収に充てられるべき」と同氏は語る。 上場に向けた日本郵政の停滞や迷走は、株主である政府にとっても大きな不安材料だ。政府は東日本大震災の復興財源25兆円のうち、日本郵政株式の売却収入で4兆円程度を見込んでおり、上場成功は至上命題でもある。 (浦中大我  編集:北松克朗)
だいぶ長い引用ですいませんm(__)m 日本郵政28年前のNTT以来の超巨大規模と言われてますので、東証1部で売出ジャブジャブは間違いないと思います。 私個人としては初値高騰は見込めないと思っているので、正直言って日本郵政の上場にはそんなに興味がありません。 最終的には新規上場承認の発表後に判断しますが、きっとBBにも不参加かな? ただ、ここでコケられてはその後のIPOにも響いてくるので、なんとしても成功させてほしいです。 去年のジャパンディスプレイのような惨状だけは勘弁ですね。 リクルートホールディングスのように、公開価格のちょい上で初値を付け、その後じわりじわりと上がっていくのがいいと思いますが、どうでしょうか。 とにかく政府には、ロイターの記事で指摘されているような課題をクリアしてもらい、よい形で日本郵政が上場できるようお願いしたいです。
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